名古屋の本質を、一言で表すと?
このサイトを制作していると湧き上がってくるのが。「名古屋という街の文化や本質を、一言で表現するとどうなるか?」という疑問です。
この疑問については、
「名古屋の食文化にヒントがあるのではないか?」
と思いついて、こちらに「名古屋めし年表」を作成してみました。
この年表によって、ある特徴が浮かび上がってきました。
単なる「東西の中間地点」ではない
名古屋という街は、古くから関東と関西の文化の接点として、独自の文化を育んできたと言われます。
しかし、前回作成した「名古屋めし年表」を眺めると、名古屋が単なる「東西の中間地点」ではないことがわかります。
結論から言えば、関東の濃口醤油文化でもなく、関西の出汁文化でもなく、八丁味噌という第三の軸を持ち、そこに外来の要素を取り込んで、まったく別のものに改造してしまう、という特徴が見て取れます。
名古屋化(ナゴヤナイズ)?
この特徴を一言でどう表現すればよいか悩みます。
あえて言えば、「名古屋化(ナゴヤナイズ)」でしょうか。
あんかけスパはイタリア料理ではなく、台湾ラーメンは台湾料理ではない。 小倉トーストは和菓子でも洋食でもない。
材料は借りても、味は返さない。
これが名古屋の本質だと思います。
もう少し、「名古屋化」について詳しく見てみましょう。
「失敗や偶然」を文化に昇格させる
「名古屋めし年表」の発祥エピソードには、偶然や苦境から生まれたものが目立ちます。
- 「手羽先」は発注ミスで届いた余り物
- 「台湾まぜそば」は、まかないの思いつき
- 「小倉トースト」は客のいたずら食べを見た店主のひらめき
- 「鬼まんじゅう」は戦時中の食糧難の代用食
こうした「転んでもただでは起きない」逞しさは、尾張商人の気質と重なります。
無駄を嫌い、手元にあるものを最大限に活かして商品化する、そんな名古屋スタイルが食文化にも息づいています。
「よそ者」を取り込み、地元民にしてしまう懐の深さ
天むすは三重県生まれ、台湾ラーメンや台湾まぜそばは名古屋生まれの台湾風━━。
出自がどこであれ、名古屋に根を張った瞬間に「名古屋めし」として市民権を得ます。
発祥が名古屋や中京圏でない料理でも、「名古屋めし」に含む場合もあるという定義の緩さは、懐の深さの表れです。
名古屋は外来文化を排除するのではなく、濃い自家製のタレに漬け込んで自分のカラーに染めてしまう。
これは徳川御三家・尾張藩の城下町として、各地の職人や商人を呼び込んできた歴史とも無縁ではないでしょう。
濃い味付け
名古屋は、味噌文化が昔から根付いており、濃い味付けを好む傾向があるとされます。
夏の暑さで知られる名古屋では、大量の汗をかく労働者が塩分・旨味の強い食事を必要としました。
加えて、長期保存に適した豆味噌(八丁味噌)が岡崎を中心に発達したことで、「濃くて力強い味」が日常の基準になりました。
名古屋めしの濃さは、嗜好の問題である以前に、気候風土や労働スタイルが要求したものだと見ることもできます。
「もったいない」精神
- ひつまぶしの「3通りの食べ方」
- 手羽先の「骨まで舐める」食べ方
- きしめんは「出汁を吸わせて最後まで食べる」
名古屋めしには、素材を最後まで使い切ることへの執着があります。
卵を産まなくなった成鶏を食べる文化から「とりめし」が生まれたように、愛知の食の知恵には一貫して「捨てない」精神が流れています。
これは「もったいない」精神と、最後の一口まで楽しむ文化の表れと言えそうです。
外でくつろぐ文化
喫茶店が栄えた理由は、尾張藩の城下町でお茶をたしなむ人が増えたため、という説があります。こういう歴史があって、愛知県の喫茶店店舗数や喫茶に対する支出は、現在でも全国上位です。
モーニングサービスが発達したことからも分かるように、名古屋の喫茶店は単なる飲食店ではなく「ゆっくり過ごす場所」として機能してきました。
食を急がず、時間をかけて楽しむ━━これは、製造業で忙しく働く一方で、日常の時間をしっかり味わおうとする名古屋人の生活哲学を映しているように見えます。
まとめ:名古屋は「濃縮」の文化
名古屋めしの特徴から「名古屋という土地柄」を読み解いてきました。
まとめると、下記のようになります。
- 失敗や偶然を文化に昇格させる
- よそ者を取り込み、地元民にしてしまう
- 濃い味付け
- もったいない精神
- 外でくつろぐ文化
融合でも折衷でもなく、あらゆるものを名古屋の土壌に漬け込み、濃くして、自分のものにする━━これが「名古屋めし」の、そして名古屋という都市の本質ではないでしょうか。
素材は全国から集めて、仕上げは必ず名古屋の味にする━━一言でいえば、やはり「名古屋化(ナゴヤナイズ)」でしょうか?
これが観光客には「個性的」に映り、地元民には「これが普通」に感じられる理由といえそうです。
これが名古屋文化の最大の面白さだと思います。